【ストーリー】ザ・ゴールデン2018エニィ編

(※架空/二次SS) 響命クロスディライブ
【ザ・ゴールデン2018エニィ編】


エニィ「むぅ…。」
その日は突然やってきた。

社から貰った休暇を満喫しようと、自室でゴロゴロしていたエニィを、
子どもは子どもらしく外で遊んで来い!と、
エニィにはよくわからない理屈で、グリットに部屋から放り出されてしまった。

世間は大型連休中。

しかし、この世界の根幹を支えるアセンシブ社の社員たちが、
全員で休みに入ることなど中々ない。

もちろん、その一員であるエニィとその仲間たちの休みもばらけがちだ。

今日、仲間内で休暇中なのも、ヒマを持て余しているのも、
エニィ一人だけである。

エニィ「むむぅ…。」

追い出された手前、とりあえず散歩をしているものの、
目的がないせいか、その足取りは重い。


とはいえ、休日特有の華やいだ雰囲気にのまれ、気分は徐々に高揚してくる。
空を見上げれば太陽が、燦々と輝いていた。

エニィ「(キレイだけど、あれは三角じゃない…。)」
あたかい日差しを体に受け、うんっと伸びをする。

エニィ「……そうだ、お休みの三角を探そう。」
目的を口から出したことで、エニィの中に確固たる意志が生まれる。

周りからは理解されづらいが、彼女には彼女のこだわりがある。
ある種のマニア…、そう三角マニアとしての魂がふるえたのだ。

むしろ自分が『お休み of 三角』になるべきではないか!そういう気すらしてきた。

エニィ「どうも。私が三角です。」
誰が聞いても謎の言葉を嬉しそうに口にしながら、エニィの三角探しは始まった。



エニィ「これはね、ダメな三角…。これは、…惜しい三角。これは、いい三角。……四角。」
判定に合格した『いい三角』は、積極的に購入していく。


一通りの判定と買い物を終えたエニィは満足げだ。
エニィ「ふふ。」

特にこの鞄、おウィズによく似た黒猫の三角鞄。

店員さんに頼み、その場でディライブして貰ったおかげで、
他の買ったものは全てこの鞄の中に収納できた。

エニィ「これには、私の三角力も敵わない。」
肩から下がる鞄に向け、ぺこりとお辞儀をする。

エニィ「参りました…。」

『お休み of 三角』の勝者はこの鞄で決まりだった。



優勝が決定したこともあり、
エニィはアセンシブ社へと戻ることにした。

集めた三角の中には、みんなで食べようと買ったご飯もいっぱいある。
時刻はお昼、働いているみんなも休憩に入る頃合いだろう。


グリット「お?おかえり。」
ちょうど休憩に入ったところだろうか?
社の入り口近くでグリットに会った。

エニィ「えへへ、ただいま。あのね、ご飯あるよ。みんなで食べよう?」

グリット「気がきくな、どれどれ?」
エニィは、買ってきた三角セレクション~昼食編~をグリットへ見せる。

グリット「おにぎりにサンドイッチ、ケーキまであるのか。ん?このドクロマークがついている赤いのはなんだ?」

エニィの顔が、よくぞ訊いてくれました!とばかりに輝く。
エニィ「それはね、レリッシュ用…。すっごく辛味がきいてる。」

グリット「そ、そうか。」
エニィに悪意はないのだろう。

だがこれを食べたらレリッシュの味覚は失われるかもしれない…。
とはいえ、誤解を招く発言をしたのもレリッシュ自身だ。

自分で対処してもらおう。

と、その時二人の会話を遮るように、
悪感情と不満を固めたような怒声があがった。

ひたすらサンドイッチを作っている男「あぁ!?なにが大型連休だ!こちとらな9連勤中なんだよ!?毎日毎日ディライブしたパンに、ディライブしたきゅうりを挟む!それを9日間連続でやって!!!貰った昼休憩がたった9分!!9分でどう休憩しろッてんだ!!クソクソクソー!!」

グリット「何だ?社の前で騒ぐなんて…、悪いな、エニィ。」
エニィ「ううん。」

すぐさま、問題解決に向かおうとするグリットは、さすが荒事に慣れているだけある。

グリット「他の奴らは上の休憩室にいるから、先に行ってみんなで食べていてくれ。」
エニィ「了解(ガティ)。」
いつもの返事で、承諾する。

あの程度の事件、グリットの手にかかればすぐ解決されるだろう。

エニィ「お仕事がんばってね、パパ。」

グリットへからかい半分、甘え半分で呟いたエニィの声は、
幸いにも背を向け走り出したグリットには届かなかった。