【ストーリー】ザ・ゴールデン2018トート編

(※架空/二次SS) 訣別のクロニクル
【ザ・ゴールデン2018トート編】


 
その日は、大型連休のうちの一日であった。

ティー「ううーつらい!つらすぎるー!」
イストワーレ「メっちゃん、自業自得だから。」
閑散とした神殿の図書館に、少女たちの声が響く。

 

まだまだ半人前の神官であるメティースとイストワーレは、
先日も先日とて盛大なミスをやらかした。
よって先輩であるクロノワから罰として、今日一日図書館の書架整理を命じられたのだ。

ティー「せっかくの休み!しかも連休に、こんなことやらせなくてもー!」
イストワーレ「罰だからねぇ、しかたないよぉ。」

 

ティー「あーあ。滅多にない大型連休なんだし、ここはいっちょダンジョンで血肉わき踊る冒険!なんてのをしてみたかったなー。」
イストワーレ「メっちゃん…なにそれ?」

 

ティー「連休といったら冒険だよ!ダンジョンとか憧れるじゃない!」
イストワーレ「う、うーん。どうかなぁ、行ってみたら大変なだけかもよぉ。」
ティー「だめ?楽しそうだと思ったんだけど…。」
雑談しながらも、少女たちは旅にでていた本をそれぞれの棚に戻していく。

 

そんな少女たちの後ろで眠そうに本を見ながら、声をかける獣がいた。

トート「まーまーワイも手伝ったるから、元気だしやー。」
神獣トート・タピーロ。
こんな姿だが大変神聖な存在である。

 

トート「この本はイの831の棚やな。」
ティー「ありがとうトート。よし分類シールを貼って…と。戻して来るねー。」

 

トート「手伝ってあげるワイ、ごっつ優しいやろー?今度サービスしたってやー。」
流石は記憶を司る神獣である。
戻るべき棚が不明の本をぱらぱらと見ただけで、判別してみせた。

 

さらに本が到底読めると思えない手で、本をめくってみせたのものたいしたものである。
流石は記憶を司る神獣である?

 

単調な作業は続く。
山積みされていた本が残り少なくなってきた頃、
トートの目に信じられないものが飛び込んできた。

 

トート「こ、これは!?経済効果をあげるためわずかしか印刷されなかったという、
神魔界美少女大辞典やないか!しかも袋とじが未開封―!?」

 

愛おしきカラーページ、めくるめく袋とじ、これを読まずにいられるはずがない。

トート「ワ、ワイの中のオトコが!!連撃どころやない!激化しとるでー!!ピィーーー!!」


ティー「トート、あとはさっきの本をいれたら終わ……り…?」
最後の数冊を取りに来たメティースが見たものは、
爛々と瞳を輝かせ、どこかの猫?をも上回る鼻息をたてるトートであった。

 

イストワーレ「メっちゃん、どうしたの?あれトート?」
同じく本を取りに来たイストワーレも尋常ではない、トートの姿を目撃する。

 

クロノワ「おーい、お前ら終わったか?」
作業の進捗を確認しに、少女たちの先輩であるクロノワがやって来たのはそんな時だった。
 
ティー「…男の人ってみんなあーなんですか?」
イストワーレ「……。」
トートが見ている本の内容に気がついた少女たちは、とても冷ややかだった。

 

さもありなん、印刷されている内容は、色で言ったら桃色といった内容である。
少女たちが嫌悪するには、充分であった。

 

クロノワ「は?おい、止めろ!そんな目でこっちを見るなッ。」
ティー/イストワーレ「じーーーーー…。」
そして冷ややかな視線は、熱く燃え滾るトートではなく、
後輩を心配しに来た優しく、罪なき先輩へと注がれている。

 

ティー「…男の人ってみんなあーーなんですかーーー?」
イストワーレ「…………。」
ティー/イストワーレ「じーーーーーーーー…。」

 

クロノワ「な、納得いかねー…。」
ぼぞりと呟かれた言葉は、図書館の中へと消えていった。