【ストーリー】後半フェーズ、勇者も来たニャよ

(※架空/二次SS) エス=アリアス
前半フェーズの続きになります。
【後半フェーズ、勇者も来たニャよ】



ウィズ「先に戻ってるにゃ。」
境界騎士団への連絡は弟子に任せたと、事後処理から早々に逃げ出したウィズは君を残し、さっさと休息の場へと向かってしまう。

師匠の気ままさは君も慣れたものだ。
仕方ないなと苦笑した君の背で、ポップ…ン…と気の抜けた音がした。


不思議に思い振り返った君の目に映ったのは、変な格好をしたウィズだった。

いや違う…ウィズではない。
ウィズ?「やれやれ…勇者を目覚めさせるとは、チミも罪作りな魔法使いニャね。」
はい?

ウィズを名乗る猫?のような存在は、相変わらず君を置いて話を進める。
君は猫らしい気まぐれさに、ウィズだからなと苦笑しようとして、真顔になった。
いやだから、ウィズじゃない。

先ほど、魔法を連発したせいだろう。
疲れに空腹も加わり、思考が妙にぼやけている。
君は回らなくなった頭に活を入れようと、フルフルと首を振った。

ポップ…ポップ…ポップ…ン。
そんな君をあざ笑うかのように再び、気の抜けた音がした。

ウィズ?「来たニャね。」
面倒な予感しかしないな、と君は思った。

ウィズ?「忙しいチミのために、パーティメンバーは、オートで揃えておいたニャ。」
嫌な予感しかしないな、と君は思った。

ウィズ?「戦士のクロニャ。」
クロ「ワン!ワン!!」
見覚えのあるクロだった。

ウィズ?「ヨビコ(盗賊)ニャ。」
ヨビコ「えへへ、魔法使いさん!今度は盗賊として頑張るからね!」
見覚えのあるヨビコだった。

ウィズ?「吟遊詩人のエナローゼニャ。」
エナローゼ「ふっふっふ!わたしの歌にかかれば、魔王などイチコロなのです。」
音痴なのかな…と君は思った。

君はもう、流れに逆らわずウィズ?に返す。
つまりその恰好は…。
ウィズ?「そうニャ。今のアタイはとりあえず勇者ってことらしいニャ。」
いつもとちょっと違うマントと頭の飾り、剣?はどうやら勇者の装備らしい。

ウィズ?「そしてチミが、このパーティの魔法使いニャ。」
ですよね、そんな気はしてました。

しかし勇者パーティとやらを組んで何がしたいのか?
君は疲れてよどんだ眼を、ふっと空へ向けた。

きらりと遠くで何かが光る。
エターナル・ロア「ぉぉおおおおおおおおお!」
エス=アリアスの大地に、杖が再び突き刺さった。

エターナル・ロア「だから小娘ぇえええ!!もう一回出来るかな?じゃない!!?試すな!!!我を投げて試すなぁあああ!」
君は先ほどのエターナル・ロアの恰好を思い出してなるほどなと思う。
魔王も揃った…と。

ウィズ?「さあ、チミあの杖をへし折るニャ。」
へし折る気はなかったが、さっき同様ぶっ飛ばそうと君は思った。

正直もう、かなり疲れているのだ。
この茶番を、とっとと終わらせたかった。

ウィズ?「終わったら、カメオン鍋ご馳走してあげるニャよ。」
君のお腹が、グゥと切ない音を鳴らす。

ウィズ?「おやおや、お腹の準備は万端ってところかニャ?やれやれ師匠として期待に応えないといけないニャね。」
君は自分の腹を恨んだ。

決してカメオンを食べたいわけではない。
確かに腹はすいていたが、このタイミングで鳴ったのはたまたまである。

君は半ばやけっぱちで、カードを構えた。
ウィズ?「さあ…後半フェーズの始まりニャ。」

 


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