【ストーリー】魔轟三鉄傑 対 老人鎮魂歌

(※架空/二次SS) 魔轟三鉄傑
チャパルのストーリーは公式のバックストーリーを引用させて頂いてます。
2018/11/1調整展開追加。
【魔轟三鉄傑 対 老人鎮魂歌】


 

前回のあらすじ!
――――――
少女のかぎ爪が老人の腹部を深々と貫く。
爪先からとめどなく滴り落ちる赤い血、足下に出来る血溜まり……致命傷だった。

 

老人の名はフー・チャパル
呪術によって正気を失い“心無い暗殺者”に変貌した……そして自らの腹部に爪を突き立てた少女の祖父。
拳神とまで称された達人は、襲いくる“孫娘”に対して、ついに只の一度も拳を振るうことは無かった。

 

正気を失った少女は、今まさに消えゆこうとしている“命の感触”に酔いしれる。
――自身を貫いた爪もそのままに、老人は前へと歩みを進めた。

 

「ようやく……近づけたのぉ……これで……終い……じゃ

 

残された力で少女の額から“彼女の心を縛る呪符”を奪い取る。
老人は……チャパルはそこで息絶えたが、彼の最期に見せた表情は、愛しい孫娘へと向けた優しい笑みだった。
――――――

 

…こうして老人の物語はそこで終わった――かに思われた!!
しかし今、その場を通りかかりしは我ら魔轟三鉄傑!
タイミングいいぞ、魔轟三鉄傑!!
さあ出番だ魔轟三鉄傑!!!

 

ガトリン「ぴーぽーぴーぽー!!ナース一丁へいお待ち!」
リエン「いや、ガトリン空気よんで。明らかにシリアスな場面に割り込んでいいわけないでしょ…。」

 

ガトリン「リエンさん…今…この場において人命より優先するものがあるというのですか?」
リエン「え、あれ?正論…ってあたしがまるで悪人みたいじゃない。違うわよ、そんなつもりじゃ!!?」

 

シャオラン「いやぁあああああああ!!!ああああああおじいちゃん、おじいちゃん!!私、私が!私のせいで!」
“心を縛る呪符”が無くなったことにより、心を取り戻した少女は自らの手で行った凶行に耐えかね悲鳴を上げる。

 

ダムザ「む、いかん!」
ガトリン「精神不安!」

 

シャオラン「おじいちゃん、おじいちゃんッ!!」
取り乱す少女を安心させるような、優しい声音でガトリンが話しかける。

 

ガトリン「突然血色の良くなったそこなお嬢さん。大丈夫ですよ。今<シニタクテモシネナクナール>を処方しますからね。」
にこりと浮かべるは質問を一切受け付けない、ナースの笑み。

 

リエン「シネナクナ…ってそれ大丈夫なの?」
ガトリン「イマジネイティブ☆ロックオン!ガトリン・チャンバー、ヘルファイアー!ぞばばばばばばばばばばば!!」
リエンの疑問をかき消すかのように、注射器から大量に出た謎色の謎薬液が、老人へと容赦なく降り注ぐ。

 

老人をびっしゃびしゃにしたあと、すっと消えるように謎色の謎薬液が謎に気化した。
ついでに少女にもかかったが、これもやはり気化しすでに痕跡はない。

 

リエン「…明らかに、肌の色がヤバくなったんだけど。」
ダムザ「だが、傷は塞がっておるぞ。」

 

何故か服まで完全に修復されているあたり、ガトリンの能力…いやナース力は底が知れなかった。

 

しかし服まで直すという所業をしてもなお、彼女は満足していない。
ガトリン「くっやはり……わたくしのナース忍法では、失われた血液を戻すことは出来ないようですね。…嗚呼、未熟!!」
己の力不足を嘆くように、ガトリンはがくりと項垂れた。

 

リエン「え?コレ血色の問題なの?え??」
謎色の謎薬液を浴びたあとの老人は、肌の色が謎色へと変わっている。

 

ダムザ「そういえば、彼女にもかかっておったが…。」
リエン「思いっきり、人体に害ありそうな色してたわよね…。」

 

ガトリン「リエンさん!ナースを侮らないでもらいましょうか!!
これはそこな御老体用にイマジナリー調合したもの、対象者以外に対しては………まー精々、死ににくそうなイメージの種族に変わるくらいじゃないですかねー、多分?」

 

リエン「雑!?ってか、なにその作用!?」
ダムザ「種族…。」
リエン「なんか、いつものことだけど…深く考えたら負けな気がしてきたわー。」

 

ガトリン「御老体はせっかくいい色になったことですし、雰囲気づけに先ほどお嬢さんに貼られていたこの符を額につけておきましょうか!ぺたっとな☆」

 

怒涛の展開と3人の会話のまれ、何も言えなくなっていたシャオランの肝が冷えた。
シャオラン「!!!!?えッ…呪符!?」

 

ダムザ「ふむ、似合っておるな。」
ガトリン「Ohーキョンシー!」
リエン「なにそれ?」
ガトリン「この前、事務所のテレビで見ました!」
リエン「ああ、あんたがたまに行ってるトコのー。」

 

シャオラン「あのそれ“心を縛る呪符”で!?!」
いけないこのままでは大切な祖父が、自分と同じように心を縛られてしまう。

 

再び取り乱しそうになったシャオランに、にこりと向けられたのは質問を一切受け付けない、ナースの笑み。
ガトリン「大丈夫ですよお嬢さん、心を縛れるものなど存在しません!そう“心”とは誰にも縛られず自由なものなのです!!」

 

シャオラン「そ、そういう精神論じゃなくて…えっと。」
どうにも話が通じているようで通じていない。

 

と、ここで意識を失っていた、老人…チャパルが目を覚ました。
チャパル「む、むぅ…。」
シャオラン「おじいちゃん!!」
チャパル「わしは一体…、おぉシャオラン無事か。」
シャオラン「っっうぇぇっうぇえええんっ…おじ…おじいちゃんごめ…ごめんなさ…いっ。」
老人の胸に顔を埋め、嗚咽を漏らす孫を、老人の…謎の色に変化した老人の掌が優しく撫でた。
長く別たれていた孫と祖父、感動の再会である。

 

ガトリン「いやーぞば~っとするいい話ですねー。あ、でもダムザさん御老体とキャラ…若干被ってません?」
リエン「いや、いらんでしょ。その指摘…。」
ダムザ「カラーリングにも若干、既視感があるのう。」
リエン「乗るな!」
3人のどうしようもない会話とは別に、孫と祖父の交流は穏やかに行われていた。

 

少女が心配した呪符の効果は、発動されていないようだ。
それどころか、祖父の額へと移動した呪符は、慈悲の心を宿したかのごとく、謎の変化を遂げ色が変わる。
まったくもって謎であった。
ガトリン「…ふっ!心を縛れるものなど存在しません!そう“心”とは誰にも縛られず自由なものなのです!!」
 
見事、老人を救った魔轟三鉄傑!
次の患者はどこだ、魔轟三鉄傑!!
特に言うことが無くなったぞ、魔轟三鉄傑!!

 

次回、ドキッ!まさか老人がアイドルに☆斬新アイドルωキャッツ新メンバー?
ピュアの心はみんなの胸に…いくつになってもきっとピュア☆お楽しみに!
リエン「なわけあるかい!」
  
 
力いっぱい叫び終え、リエンは呆然とした。
リエン「って…はッ!?」
  
自らの体はベッドに横たわり、目に映るのは、宿屋の天井。
カーテンから漏れた朝日が、ちょうど顔に当たり、痛いほど眩しかった。
リエン「え?え??夢???え???」
  
ガトリン「…ふっ!心を縛れるものなど存在しません!そう“心”とは誰にも縛られず自由なものなのです!!すやぁああああ。」
戸惑うリエンの横で寝ていたガトリンが、突如声を上げた。
寝言である。
 
だが…その言葉は先ほど、夢の中で聞いたような気がする言葉であった。 
リエン「…………。」
何とも言えない思いを抱きはしたものの、どうせ謎は解けないのだ。
で、あればと…リエンは夢の中で感じた疲労を回復しようと、朝日に背を向け再び寝ることを決めた。
   
ガトリン「…次の夢では~~ぞばむにゃぁ~リエンさんが~!」
リエン「やめい!!」