【ストーリー】見知った顔ぶれ?
(※架空/二次SS) クエス=アリアス
魔法使いと黒猫のウィズ Live Concert 2018 &記念魔道杯開催おめでとうございますSS。
【見知った顔ぶれ?】
ひんやりとした冷たい空気を深く吸い込み、精神を落ちつかせる。
横に控えるウィズもこの場の空気に合わせ、静かに君を見守っていた。
ここは魔道士が、異界の存在である精霊と契約を結ぶための広間だ。
いくよ、と君は言った。
異界に通じる<叡智の扉>を開く。
君の魔力に反応する精霊…彼らへと呼びかけ返された言葉に答えていく。
正直、精霊から問われる言葉は理解できないものも多い。
だが、答えた『言葉』は力となり、『魔法』へと至る。
ウィズ「成功にゃ!」
魔力の光がおさまったのを待ち、ウィズが君の手元のカードを覗きこむ。
ウィズ「にゃ?」
新たに契約した精霊は、楽しそうに楽器を奏でていた。
奏者はバロン、アレク、ロレッタと見知った顔ぶれの面々である。
君は師匠であるウィズに疑問をぶつけた。
カードになるのは、自分たちがいる現実以外の異界の者なのでは?
自分の記憶する限り、この三人はクエス=アリアス在住の魔道士だ。
何故カードになっているのだろう?
ウィズ「にゃ~?」
ウィズも同じ疑問を抱いていたのか、こめかみに肉球をくりくり当てながら何かを考えている。
ウィズ「もしかしたらバロンたちが、異界に渡った時のカードかもしれないにゃ。」
3人のギルドマスターが異界に渡り、共に楽器を奏でる?
そんなことがあるのだろうか??
ウィズ「か、可能性は零ではない…にゃ?」
ウィズも言っていて違和を感じたのだろう、語尾が自信なさげに揺れていた。
とはいえ、時空の歪みに飲まれる可能性は誰にもおこりうる。
さらに異界ごとに時間の流れだって違うのだ。
なるほど、この精霊たちの情景はバロンたちの過去にあったことかもしれないし、
未来のいつかどこかでおきることなのかもしれない!
ウィズ「もしくはクエス=アリアス内で、
バロンたちの力の一端が別離・凝固、疑似的な精霊になった姿かにゃ…。」
君は、えぇぇ?と思った。
先ほどの説明で納得しかかっていたのに…。
疑似的な精霊なんてありえるのだろうか?
いや、そういえばエリアを旅立つ際、
ギルドマスターから本人のカードを貰ったなぁと…。
深く疑問を抱かず、使用していたが考えてみればあれがそうか!?
なるほど、さすがは師匠だ!
あれが疑似精霊だったと考えると説明がつ――。
ウィズ「もしくは力の一端や体の一部だけが、異界に渡って精霊となったかにゃ?」
君は再び、えぇぇ?と思った。
また別の仮説が出てきた。
混乱する君を慰めるように、ふにっとウィズの肉球がのる。
ウィズ「キミ…世の中、絶対的なものはないにゃ。」
まぁそうだね、と君は苦笑した。
思えば突然新たな詠唱法が発見されることもあった。
敵は敵で、突然呪ってきたと思えば、やれ回復反転だ属性吸収だ属性反転だの、多層バリアに恐怖etc…。
時空の歪みだって発生頻度が昔より上がっている気がする…。
様々なことは多様に変化しているのだ、精霊や異界の定義だって不変ではないのだろう。
そう、絶対的なものはない…。
ここにいる自分だって絶対だと思っていたが、それすら違うのかもしれない。
通って来た道順の違い、契約した精霊たちの違いの数だけ、
様々な可能性の自分…いや、様々な『黒猫の魔法使い』がいるのかもしれない。
そんな『黒猫の魔法使い』たちと、共闘することもあるのかもしれないねと君は言った。
ウィズ「キミも中々、面白いこと考えるにゃ。」
そうだろうか?
ウィズ「…キミは『キミ以外の黒猫の魔法使い』に会ったらどうするにゃ?」
少し悩んでから君は口を開いた。
「 」