〈雑記〉と…言って君はシェーカーをふった。
君は思った。
なりゆきとはいえ、ただなんとなくスナックの片隅で、シェーカーをふっているだけでいいのだろうか?
客に言われる素材をヒントに…ただ酒を…カクテルを提供する三日間を繰り返す。
ふ……それも悪くないな…と思ったそばで…また猫(?)が死ぬ。
君にだけに見えるメニュー画面で、かちりと猫(?)の死亡数が増えた。
そうして君はまた23日に戻る。
再び客の希望通りのカクテルを作ろうとシェーカーをふろうとして、…ふと思った。
今の自分に何ができるのだろう?
後半が来ていない今…もはや自分にできる事は何もない。
いや…本当にそうなのか?
なんだかんだポイントはオートで貯めたし、もう放置でいいかな?
そう思う一方…下がっていたモチベーションが、猫(?)…………いや付き合いがそれなりになった彼女(?)の登場により上へと動いたのは確かだ。
ボイスがないのが気にくわないが…それをいったら…本家師匠は月2の異界でいつもそんな感じなので、そこはもう仕方がないと割り切った…
そう、その彼女(?)の店の為に、新メニューを作ってみるのはどうだろう?
客に言われるだけじゃない。
本当はまだ何か…何か作れるものがあるんじゃないか?
そう思い君は、シェーカーを手に取る。
【テキーラ】をベースに、
どこかの魔界で見たような【痺れるライムゼリー】と、
トルリッカマラソンでお馴染みのアレに似た【オレンジジェム】、
やっぱりどこかの魔界で見たような【しっとりキュラソーゼリー】を、
進化さ…いや違う、シェーカーにいれてふる。
【マタマタドウル】の完成だ。
………いや…これもう作ったよな?と君は思った。
そうは思ったが……以前は勢いで作っただけだったのと、進化先…いや完成品が確認できないせいで、いまいち混乱する。
同じカクテルは結構何度も作ってしまっている。
だが、今回しっかりメモしたので、次回からはもう大丈夫だろう。
とりあえず、これはさておき次へいこうと君は心を切り替える。
【ウォッカ】をベースに……
ベース…に……?
素材が足りない…後編待ちだ…
だが後編に必要な素材をすでに確保できたと思えば悪くない。
よし次だ。
【ラム】をベースに……
ベースにーーーーー…
ちっくしょう…これもか…後半はよーーと君は思った。
よし次。【ジン】をベースに、
トルリッカマラソンでお馴染みのアレに似た【オレンジジェム】で、
【オレンジン・ブロッサム】を完成させる。
楽でいいなと思ったが、これもすでに作ったカクテルだった。
例により…また作ってしまったが、この際だもう片っ端からいくぞと、君は携帯もとい…シェーカーを構えた。
いわくというか意志があるタイプだろうと思える【いわくありげなレモンジュース】をベースに、
同種の【いわくありげなレモンジュース】、
どこかの魔界で見たような【しっとりキュラソーゼリー】、
拾った【ウォッカ】を混ぜて……
へい!【バラバライカ】だよお客さん!
君は調子に乗って、できたバラバラの酒をカウンターに滑らせた。
今度はどこかの魔界で見たような【しっとりキュラソーゼリー】をベースに、
同種の【しっとりキュラソーゼリー】、
意志があるタイプだろうと思える【いわくありげなレモンジュース】、
道中で拾った安全面に不安のある【ウォッカ】を混ぜて、
【失敗作】が完成した。
………君は客の助言を無視するとこうなるのか…客商売って難しいなと思った。
やっぱりこれも、いわくというか意志があるタイプだろうと思える【いわくありげなシュガーシロップ】をベースに、
同種の【いわくありげなシュガーシロップ】、
戦って倒した【ラム】、
どこかの魔界で見たような【痺れるライムゼリー】を、混ぜて……
もう一丁【失敗作】の完成ってわけ☆
どんどんいこう!
毎度おなじみ、どこかの魔界で見たような【痺れるライムゼリー】をベースに、
同種の【痺れるライムゼリー】
意志があるタイプだろうと思える【いわくありげなシュガーシロップ】をベースに、
戦って倒した【ラム】、
はいよ、【ダイ・キル】~~~!
トルリッカマラソンでお馴染みのアレに似た【オレンジジェム】をベースに、
同種の【オレンジジェム】、
拾ってきた【ジン】でーーー!
やっぱり【失敗作】が完成ってわけ☆
よし一通りやりつくしたぞ。
謎の達成感と共に、カクテルづくりって難しいなと君は思った。
そもそもこれがカクテルなのか…疑問はあるが…
細かい事を気にしたらこの世界負けである。
と言って、君はシェーカー…もとい携帯をしまった。