【ストーリー】巨神VS戦神!げーとでぃふぇんだ…らない

(※架空/二次SS) エス=アリアス
【巨神VS戦神!げーとでぃふぇんだ…らない】



ズズズっと音をたて、ロベルトがお茶をすする。
ロベルト「はぁ~~。」

ルートヴィッヒ「アンタねえ…。」
気を抜きすぎる隊長に、直属の部下であるルートヴィッヒは呆れ顔を向けた。

ここは異界の脅威からクエス=アリアスを守る境界騎士団の本砦。
その一室で団員の面々は、休憩をとっていた。

オルハ「まあまあ、いいじゃないですかー。」
休憩をより心地よいものにするため、オルハはお茶をふるまう。

オルハ「はい、どうぞエアリルさん。」
エアリル「お茶が美味しい!」
出されたお茶を飲み、だばりと天使が感動の涙を流した。

ロベルト「ほら天使さまもくつろいでおられるだろ。」
堅苦しいお前が悪い、とロベルトがからかう。

指摘するだけ無駄だったと、ルートヴィッヒはだらけきったロベルトから意識をそらした。
ルートヴィッヒ「はあ……僕にもください。」
オルハ「はい~。」

ほわりと優しい湯気を放つお茶が、ルートヴィッヒの前に置かれる。
こくっと彼が喉を潤すと同時に、部屋の扉がバンッと開かれた。

苦いものを噛んだような…顔をしかめたエステルと、
憂い顔のアネモネ、ふたりが室内へ入って来る。

はじめから室内にいたセドリック、オルハ、ロベルト、ルートヴィッヒ、エアリルに、ふたりが加わり、6人。
いつもよく集まる、面々が揃う。

室内に入って早々、席にもつかずエステルは不満そうに言った。
エステル「なんか巨大な石像みたいなのが動き出したんですけど!」
オルハ「ええーなんかそんなのが見えちゃってましたね~。」

本来であれば、『異界の歪み』から強力な魔物などが現れ、
その攻防戦にかけずりまわっているのが、彼ら境界騎士団である。
それが今回は攻防戦をしていない。
何故なら、…今回はただ…見えているだけだからだ。
それ以上でも、それ以下でもない。
とにかく、ただ…なんか見えている。

高並ぶ建物、空飛ぶ機械、きらびやかに光る都市。
そういったものが、見えているだけ。

ロベルト「本当に見えてるだけだしなぁ。」
オルハ「ええ。なんか見えちゃっていますが、実際にあの戦いがおきているのは別の異界のことですし~。」
そう、彼らがどうこうできるものではなかった。
だって、ただ見えちゃっているだけだから。

アネモネ「………。」
別の異界で繰り広げられる戦いに、我ら境界騎士団の力が役立つことがあるとしたら、
その場に、クエス=アリアスの魔法使いがたまたまいて、
精霊魔法として、私たちの力を行使する…位だろうか?

あまりにも限定的過ぎる可能性に、内心で首をひねる。
しかし仮に、その“たまたま”がおきたとしても、
今ここにいる自分が、何もできないことに変わりはない。

アネモネ「…やはり…落ち着きませんね。」
守るべきGateに、異界の脅威が迫っているように見える現状。
それなのにDefendersとしての、仕事がないという現実。
まるで世界に必要ないと言われているようで、彼女の心はきしきしと不安を訴えている。

そんなアネモネの様子を見て、煮えたぎるお茶に息をかけ冷ましていた団長…セドリックが、静かにティーカップを置く。

セドリック「休める時にしっかり休むことも立派な仕事だ。」
言いながら指をぴんと立て、ウインクしてみせた。

一見、軽薄そうに見える動作だったが、声音と力強い視線が、彼女を落ち着かせる。
アネモネ「はい。」

ロベルト「そーだぞーー俺を見習え、見よ!この陸に引き上げられた深海魚のようなくつろぎっぷりを~。」
ルートヴィッヒ「だからアンタは、だらけすぎですって。」

アネモネ「ふ……。」
仲間たちの他愛ない会話聞き、さらに心が凪いでいく。
そして自分が、まだ立ったままであることに気がついた。

アネモネ
「ふふ……。」
改めて、休憩という“仕事”をするため、椅子へと腰を落ち着ける。
アネモネの横に付き従っていたエステルも、合わせて椅子へと座った。

ふたりが座ったのを見守ってから、入れ違いにオルハがすっと立ち上がる。
オルハ「お茶、用意しますね。」

エステル「ワーイ!」
アネモネ「ありがとうございます。」

既にお茶を飲み終えていた面々には、おかわりを…。
アネモネエステルへは、新しいお茶がコトリと差し出される。

エステル「んぎゃーーー!?」
出されたお茶を前に、エステルがのけぞった。

ルートヴィッヒ「あーーーま…見た目わかりやすいだけ、今回は優しいパターンですよ。」
セドリック「そうだね。」
ロベルト「…かねぇ。」

エステルに差し出されたお茶は、お茶か疑わしいほどゴボゴボと沸騰している。
ちなみに先ほどから団長がひっそり格闘しているお茶もこれだ。

騎士団を鍛えるため、オルハが好意で仕掛ける訓練。
――今回の場合は、灼熱のお茶がそれにあたる。
オルハ「ふふ。残さず飲んでくださいね~。」

なお引き当てたのはセドリック、エステル、エアリルだった。
エアリル「おかわりのお茶が熱い!!」

 


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