【ストーリー】大魔道杯inシュウネンタッグバトルのその先で…

(※架空/二次SS) エス=アリアス
【大魔道杯inシュウネンタッグバトルのその先で…】

 
4日間にわたる熱い戦いを終え、トーナメント結果を確認しにきた君の眼前に、すっと影が差す。
通せんぼをするような形で、ゼルプストが立ちふさがっていた。
 
疲労のたまった体が、さらに重みを増す。 
もうなんか肩の上にいるウィズの重さも、いつも以上に増えている気がする。
言葉を発する気力もない君へ、ゼルプストは容赦がなかった。
 
ゼルプスト「貴様がこのトーナメントを経て、新たに契約したすごく…素晴らしく…驚くほど、輝かしいカードがあると聞いたが、それを見せてもらおうじゃないか。」
 
がくがくと揺さぶられる君から、師匠はすぐさま距離をとった。
これですか、と言って君はしぶしぶ数枚のカードを差しだす。
 
差しだされたカードをまじまじと見つめ魔道王は言う。
ゼルプスト「ほう!余とあの娘の精霊魔法か…。ああ、余は誰と組んでもいい余だなあ!」
満足そうにカードを眺めるゼルプストだったが、目が一点を捉えた途端、態度が一変した。
 
ゼルプスト「…む、なんだと!?種族が亜人だと!!!!???」
そこを切りこんでいいものか…君は返答に迷う。
 
キャリン「伝説のにくきうの前では、魔道王も亜人になるミャオ!」
ゼルプストの脇から、キャリンが嬉しそうな足取りで飛びだしてきた。
 
ゼルプスト「余は魔道王だぞ!?種族術士でない魔道王など…!!」
ゼルプストは顔をうつむき、数秒ためてからばっと上げる。
 
ゼルプスト「…悪くない!!
むしろ亜人の余!!!いいなあ!!種族亜人の余もいいなあ!まだまだ新しい余が探せそうだ!」
そんなことだろうと思いました、と君は投げやりに言った。
 
ヨビコ「あれあれー?そういえば、トーナメントの順位ってどうなったの?」
 
トリエテリス「おや、そういえばわたくしたち争っていましたね。」
キャリン「途中から、チームの順位なんて誰も気にしてなかったミャオ。」
 
ゼルプスト「ふむ、1位の余も、2位の余も、3位の余も捨てがたくはあるが
どのチームが勝ったか、一応はっきりさせておかねばな。」
 
エナローゼ「ふっふっふ、このシュウネンバトルを見届けたのは、わたしがはじめてなのです。つまり優勝はわたしなのです。」
 
ヨビコ「ええー、私も見てたよ!?私も優勝?優勝なの?」
キャリン「伝説のにくきうも見てたミャオ!」
 
エナローゼ「あなたたちは所詮、6番目と2番目に見届けしものなのです。
やはり魔道士のはじまりたるわたしひとりのみが、優勝なのです。」
 
ペロミィ「お、タッグを捨ててきたねー。」
ヨビコ「はう!?」
 
トリエテリス「もうわたくしたちが、次のシュウネンでいいのでは?
ソウゴウですし。ぶっちゃけソウゴウですし。」
 
ソウゴウ…?シュウネンに続き、また新たな単語がでてきたなーと君は思った。
ウィズ「にゃー…。」
再び集まってしまったアクの強い面々を前に、師匠が気疲れした声を上げる。
 
君も4日間の熱い戦いを繰り広げていたのだ、一刻も早く休みたい。
もうさくっと話を進めることにした。
 
1位を3Pt2位を2Pt3位を1Ptとして4日間のチーム順位をポイントにすると、
トリエテリス&ペロミィのチーム素敵が2位、3位、2位、3位で6Pt
キャリン&ゼルプストのチーム自分探しが3位、2位、1位、2位で8Pt
エナローゼ&ヨビコのチーム頑張り屋が1位、1位、3位、1位で10Pt
つまり1位は………。
 
ペロミィ「ペロペロペロリーン!4日間トーナメントに参加してお疲れだね!
そんな時は塩分だよ。はい!岩塩!!」
ヤミィ「塩分大事ー!」
 
順位を言い終わらぬうちに、君の体へ悠久の時を経て硬質な結晶に変化した鈍器がめり込む。
ぐふっと声をもらし、君の体はくの字に折れた。
 
トリエテリス「見事な、3ドバッグっぷりですね人の子よ。」
同時に乱れたローブの懐から、パラパラと虹色の雫が落ちていく。
 
ウィズ「キミ!?大丈夫かにゃ?」
--ウィズ…。
ごめん、それ集めてくれないかな。
今の君には屈みこみ、ものを拾うという動作をする余裕がなかった。
光の失われた瞳で落ちた雫に視線を向ける弟子を見て、師匠はしっかりとうなずく。
 
ウィズ「わかったにゃ。ここは師匠にまかせるにゃ!!」
本もうまくめくれぬ猫の手で、一生懸命雫を集めてくれる師匠に君は感謝した。
 
同時に申し訳なさもこみあげたが、
ウィズはこの4日間、夜は8時間以上の睡眠をとり、朝は二度寝…さらに昼寝までしっかりしていたのだ。
 
トーナメントへの参加は自分の意志。
ウィズへの恨みなどまったくないが、しっかり睡眠をとってつやつやしている師匠に少し頼ってもいいかなあ、と君は思った。
 
ウィズ20個全部集めたにゃ!」
 
虹色の雫を器用に抱えたウィズを抱きあげ、君はまだぎゃんぎゃん元気に騒いでいる彼らに背を向け、次なる戦いに備えるため安息の地(布団)へと足を向けた。