【ストーリー】大魔道杯お疲れさまニャ!

(※架空/二次SS) エス=アリアス
【大魔道杯お疲れさまニャ!】


 

???「……ミ……チ……チミ。こんなところで寝てると風邪ひくニャよ?」
重い瞼を開けると、視界全面に見知った顔が広がる。
君は…ああ、またコイツか…と思った。
 
ウィズ?「恐ろしく、すさんだ反応ニャね。」
床にうつぶせに倒れていたせいで、謎の猫()との距離がとても近い。
 
顔へかかる鼻息を無視し、ぐっと両腕に力を入れ立ち上がる。
君の横に添い寝していた謎の猫()も、こちらにあわせ立ち上がった。
ウィズ?………。」
 
感じる視線を無視し、体の状態を確認する。
満タンとはいえないが、魔力がそれなりに回復している。
意識を失って数時間が経過したといったところだろうか?
 
しかし多少の休息を得たとはいえ、全身に纏わりつくような疲労は消えていない。
今は…確か、定期的に行われる魔道士の腕試しトーナメントに参加していて…。
そう、4日間に渡る熱い戦いをしている最中だったはずだ。
やらなければと、君はカードに手をかけた。
 
その様子を見た謎の猫()が、君を気遣うようなしっとした声で問いかけてくる。
ウィズ?チミ、なんでそこまで必死に戦うニャ?」
なんで…そういえばなんでだろう。
…君はしばらく考え、力を示し新たな精霊と契約するチャンスを得るためと言った。
 
ウィズ?「そういう建前でもらう、総合ニャね。」
総合?自分の知らない精霊の名だろうか。
 
ウィズ?「お、得意のかまととニャね。やれやれ、アタイにはもっと自分をさらけ出してもいいって言ってるのにニャ。」
相変わらず、謎の猫()の言っていることは、よくわからない。
 
ウィズ?「ま、ともかく総合のためとはいえ、ここまで長時間プレイするなんて、チミは相当なクイズ好きニャ。いよっクイズ王!いよっクイズ狂い!」
クイズ?精霊への問いかけのことでも言ってるのか?
……君は深く考えようとして、やめた。
 
今は謎の猫()の相手をしている場合ではない。
トーナメントは、チーム対抗戦でもあるのだ。
自分と同じチームになった魔道士たちのためにも頑張らなくては!
 
ウィズ?……。」
君の様子を見ていた謎の猫()は、虚空に視線をうつし、ふぅ~~と優しく息を吐く。
 
ウィズ?チミ、正直に言ってもいいニャよ?」
君は少し間を置き、ぼそりと言った。チーム対抗の意味ってあるのかな……。
 
ウィズ?「ま、気持ちはわかるニャ。
昔はチーム対抗っぽさが、もうちょっとあった気もしたニャ。
でも今はしょせん、鼻をかんだあとのティッシュくらいの意味しかないニャ。」
それは言いすぎでは?と思ったが、言い返す気力はない。
 
ウィズ?「一応チームが変わったら、それぞれのツンツ~ンが楽しめるサービスニャよ?
でも、チームわけがランダムすぎて、全部ツンツンできないことのほうが多いニャ。」
まあそうだな…と君は心の中で同意した。
 
ウィズ?「やっぱり鼻をかんだあとのティッシュくらいの意味しかないニャ。」
それは言いすぎでは?と再び思ったが、同様に言い返す気力もない。
 
ウィズ?「そもそも敵として厄介なのは、むしろ同じチームになった奴らニャよ。」
そんな気はしていた…。
 
ウィズ?「デイリーの方が大変ニャ。」
そんな気はしていた…。
 
ウィズ?……チームの奴らをぶち殺すニャ?」
ぶち殺しません。
 
ウィズ?「じゃ、3万砲打つニャ。」
それはもう使ってしまったと君は言う。
 
ウィズ?「じゃ、もうひたすらクイズ解けニャ。」
…そうですね。
と、そこで君の体は、どんどん重くなっていく。
視界は瞬く間に黒く塗りつぶされ、意識は再び闇へと沈んだ。
………
……
ウィズ「ミ……キ…ミ…キミ。どうしたにゃ?」
壁に体を預け意識を失っていた君の頬を、ぺしぺしと師匠の肉球が叩く。
 
重い瞼を開けると、外の光が君の目を刺した。
目に飛び込んできた景色は、見慣れたクエス=アリアスのもの。
 
魔力の回復具合からみて数分程度だろうか。
君は路上で立ったまま、意識を失っていたようだ。
 
ウィズ「にゃはは。今回のトーナメントも楽しかったにゃ。」
まだ、ぼうっとしている君の意識を覚醒させる意味もあるのだろう、肩の上にいるウィズが話を進めた。
 
楽しかった?…ああ、そうか。
ウィズが告げた言葉を遅れて理解した君は、
意識が消えていた数分の間に、4日間にわたる熱い戦いの幕が閉じてしまったことに気づく。
 
わずかとはいえ回復した魔力が無駄になってしまった。
若干の虚しさを覚えながら、ぐっと足に力を入れる。
 
ウィズ「キミがどれだけ頑張ったのか、結果を確認しに行くにゃ!」
そうだね、と君は微笑んで、結果が発表される会場へと向かった。
 

異界(イベント)別SSリンク集