【ストーリー】ゴールデンアワード2018テオドール編

(※架空/二次SS) その光は淡く碧く
ゴールデンアワー2018テオドール編】

 

テオドール「…それで…シャロンさまは、私がなにを言っても『まぁテオったら』と、優しく微笑まれてしまうのだ。」
???「……。」
テオドールシャロンさまは本当に喜んでおられるのだろうか?いや、シャロンさまに限って嘘などつかれまい。」
???「………。」
テオドール「つまり、シャロンさまにさらに喜んでいただくには、私はどうしたらいいかと…。」
???「…………。」
同じ様な話を繰り返し聞かされている女性は、うんざりした様子で口を開く。
 
???「どうしてそれを私に話すの。嫌がらせなの?」
彼女の名は、サクシード。
過去、シャロン皇位を狙い失敗。今は罪人として牢に捕らわれる身だ。
自由がない彼女には、テオドールの言葉から逃げる術はなかった。
 
テオドール「は?いえ…同じ皇族の女性として何か参考となる意見が聞けるかと…。」
サクシード「……………。」
これが自分に与えられた罰なのか…、いやこれは違うだろうと思わず胸中で突っ込んでしまうほどにサクシードは疲弊していた。
心が…。
 
いつ終わるともしれないテオドールの話を止めたのは、鈴を転がすような声だった。
シャロン「まぁテオったら、そんなところにいたの?」
テオドールシャロンさま!!」
 
牢に似つかわしくない、純白をまとったシャロンがテオドールへ駆け寄る。
“皇の剣”であるテオドールは、腕を広げ、自らの主にして、最愛の伴侶であるシャロンを柔らかく包み込んだ。
ふたりが重なり合うと同時に、純白の羽が祝福するかのように、ひらりひらりと舞ってゆく。
 
サクシード「……………。」
この光景を見せられたサクシードは、先ほどよりさらに疲弊を感じた。
心の…。
 
ミー「いつもこうなんですよー。」
シャロンと共に牢へやってきたメイドの少女ミーが、ころころと笑った。
 
サクシード「いつも……。」
ミー「舞台を見ているかのごとく!いつもです!」
テオドールのファンであるミーは、彼らの愛の劇場を素直に楽しんでいる強者である。
 
サクシード「何故かしら、拳で殴りつけたい衝動に駆られるわ。」

 

ミー「うーーーん…多分ではありますが、お一方これから酷い目にあわれるので…。」
それで怒りを鎮めてはもらえないか?とメイドは提案した。
 
サクシード「……?」
一方、言われたサクシードは意味がわからなかった。
 
ミー「テオ様が、私用で女性と会われていると聞くや否や、ものすごい移動速度を発揮されまして。」
その行動力たるや…。
従者の準備も間に合わず、たまたまその場にいた管轄違いのミーが急遽追いかけるはめになった程だ。
 
サクシード「………。」
ミー「陛下は、ああ見えて、皇帝の最終試練を乗り越えた強いお方ですよ?あらゆる意味でテオ様が今晩あたり…無事ではすまされないかと…。」
柔らかにほほ笑むシャロンを見て、サクシードは寒さとは別の震えを感じた。
 
シャロン「まぁテオったら…。」